叙述 トリック おすすめ。 叙述トリックとは。おもわず驚くおすすめ文庫小説11選!

面白い叙述トリックまとめ | しらさかブログ

叙述 トリック おすすめ

主人公は、ノンフィクション作家の五十嵐。 通りかかったアパートから火が出ているのを発見します。 そこには、両手両足を縛られ、無残にも焼け焦げた女性の死体がありました。 それから立て続けに事件は起こり、7人目の被害者となったのは残酷にも五十嵐の婚約者である水沢舞だったのです。 現場の証拠からすぐに犯人は捕まり、無期懲役の判決が下って事件は終わったかに見えました。 しかしある日、犯人の河原から五十嵐に手紙が届きます。 それは自身の無罪を訴えるものでした。 最初は取り合わないでいましたが、調査をすすめていくと、河原の無罪を証明するに至りました。 そしてこれは、新たな事件の幕開けを意味していたのです。 本当の犯人は誰なのか、事件の結末はどうなるのか、二転三転する展開に目が離せません。 予想外の結末が待ち受ける、大ヒット叙述トリック小説『仮面山荘殺人事件』 叙述トリックを駆使した華麗などんでん返しが魅力的な、東野圭吾による長編推理小説。 読みやすくスリリングなストーリー展開で読者を魅了する大ヒットミステリーです。 ビデオ制作会社を経営する主人公の樫間高之は、婚約者の森崎朋美との結婚式を目前に控えていました。 ところがそんなある日、朋美の運転する自動車がガードレールを突き破り崖から転落。 朋美はそのまま死亡してしまいます。 それから3ヶ月後、高之は朋美の父であり森崎製薬の社長を務める伸彦から、森崎家の所有する別荘への招待を受けたのです。 別荘には森崎一家と高之の他、伸彦の秘書の下条玲子や朋美と親友だった阿川桂子など、男女8人が集められていました。 穏やかな時間を過ごしていた8人でしたが、「朋美は殺されたのではないか」と1人が言い出したことで、一同に微妙な空気が流れます。 そんな時、突如別荘内に逃亡中の強盗犯が侵入。 8人は人質として捉えられてしまいます。 緊迫感漂う雰囲気の中、最初の犠牲者が出ることになり、物語の展開からどんどん目が離せなくなってしまいます。 強盗犯とのやりとりにはハラハラさせられ、徐々に別荘内にいる誰もが怪しいのではないかと思わされてしまいます。 作品内に仕掛けられた全てのトリックが明かされた時、思わず膝を打ち、その鮮やかさに脱帽してしまうことでしょう。 文章はとにかく読みやすく、叙述トリックものは初めて読むという方でも、安心して読めるのではないでしょうか。 トリックの鮮やかさに感激する一方、登場人物たちそれぞれの思いにも切なさを感じる作品です。 ミステリー好きにはお馴染みとなっている作品ですから、まだ読んだことのない方はぜひ挑戦してみてくださいね。 赤川次郎の最高傑作と評される、魅力的な小説『マリオネットの罠』 1981年に執筆された、赤川次郎の長編処女作品。 予想を大きく裏切る衝撃の展開が話題を呼び、今なお多くの読者から高い評価を受けている作品です。 フランス留学から帰ってきた修一は、大金持ちの峯岸姉妹が暮らす館で、住み込みの家庭教師をすることになりました。 館には峯岸姉妹と自分、そして2人のお手伝いさんがいるだけだと聞いています。 ですが滞在するうち、修一は姉妹の言動やお手伝いさんの動きに違和感を覚えるようになり、この館には誰かがもう1人いるのではないか?と思うようになりました。 そんなある日、修一は館に地下室があるのを見つけ、そこに閉じ込められている美しい女性を発見したのです。 かわいそうに思い、女性を逃がしてやった修一でしたが、それからというもの、街では恐ろしい連続殺人が起こるようになり……。 「館」シリーズ第1作となる、綾辻行人のデビュー作です。 本格ミステリーの先駆けとなった作品で、1987年に本書が刊行されたのをきっかけに、日本のミステリー小説の人気が一気に高まりました。 「角島」という孤島には、奇妙な形をした「十角館」と呼ばれる建物が建っています。 半年前この島では、十角館の建築者である中村青司の自宅が全焼。 焼け跡から、中村青司を含めた4人の他殺体が発見されるという、凄惨な事件が発生していました。 そこに興味を示したのが、ある大学のミステリー研究会に所属する7人のメンバーです。 彼らはお互いを「エラリイ」「ポウ」「アガサ」といった、有名ミステリー作家にちなんだニックネームで呼び合い、謎の多い事件が発生したこの島へ、興味津々やってきたのでした。 一方本土では、元ミステリー研究会の会員だった河南孝明の元に、中村青司を差出人とした、謎の告発文が届きます。 島では7人のメンバーがひとりずつ殺されていき、本土では死んだ筈の人物からの、告発文の謎について調べられていきます。 一章ごとに孤島と本土を行ったり来たりしながら進んでいく展開に、どんどんのめり込み時間を忘れて没頭してしまいます。 犯人がわからない中、仲間が次々と殺害されていき、島から出ることもできない恐怖にハラハラドキドキすることでしょう。 そして終盤、読者の目に驚愕の一行が飛び込んできます。 その一行によって全てが繋がる、華麗すぎる種明かしに興奮せずにはいられません。 叙述トリックを使ったミステリーの醍醐味を、これ以上ないほど濃厚に味わうことができます。 普段ミステリーは読まないという方にも、自信を持っておすすめできる1冊です。 秀逸な叙述トリックに舌をまく傑作ミステリー『龍神の雨』 多彩なトリックを巧妙に仕掛け、読者を翻弄する実力派ミステリー作家、道尾秀介によって執筆された本作。 ある事情を抱えた、2組の兄妹(兄弟)の姿を描いたこの作品は、大藪春彦賞を受賞しました。 父が出ていき、母までも事故で亡くしてしまった蓮と楓は、継父と3人で暮らしています。 暴力を振るい、妹にある悪戯をしたらしい継父のことを、蓮は殺したいと思っていました。 一方、母を海の事故で亡くし、父を病気で亡くした辰也と圭介は、継母と暮らしており、辰也は母を殺したのが継母ではないかと疑っています。 そして圭介は、母が死んだのは自分のせいではないかと苦しんでいました。 この2組の兄妹(兄弟)が、雨をきっかけに運命を交差させることとなり、人生を大きく変えていくことになるのです。 殊能将之のデビュー作品。 読者の先入観を巧みに利用した叙述トリックによって、驚愕の真実が明らかになる人気ミステリーです。 メフィスト賞を受賞しました。 美しい女子高生を絞殺し、遺体の喉にハサミを突き立てるという猟奇的な連続殺人事件が発生しました。 マスコミはその惨忍さを大きく取り上げ、犯人を「ハサミ男」と名付けます。 その頃、次のターゲットを探し求めるハサミ男は、聡明な女子高生、樽宮由紀子に目をつけ、彼女の身辺を念入りに調べ上げていました。 ところが、ハサミ男が殺害を実行しようとしたその夜、何者かに殺害された由紀子の遺体を発見してしまい、しかも喉には銀色のハサミが突き立てられていたのです。 模倣犯はいったい誰なのか。 真犯人を探し出すべく、ハサミ男は調査へと乗り出します。 はじめに語られる「二つの顔」では、ひとりの男が描かれます。 ある時、彼のもとに1本の電話が入りました。 都内のホテルで妻が殺された……。 それを聞いた男は動転します。 聞いたこともないホテルで妻が殺されるはずはないのです。 「契子なら、まだついさっきまで、この絨緞の上に横たわっていたのである。 私が殺した。 この手で、この寝室で私が殺したのだ。 」(『夜よ鼠たちのために』より引用) 物語は二転三転し、意外な結末を迎えます。 他の物語もアイディアが秀逸で、最後まで騙されることは間違いなし。 連城は短編を得意にしていたといわれる作家なので、彼の索引を堪能するのにもおすすめの作品です。 春に読みたい叙述トリックミステリー『葉桜の季節に君を想うということ』 主人公の成瀬将虎は、自称「なんでもやってやろう屋」。 以前は探偵事務所に勤めていたこともありましたが、すぐに辞めてしまいました。 高校時代の後輩である清に「元探偵」と見栄を張ったことが原因で、清が想いを寄せている女性に関する相談を受けることになります。 それは、悪徳業者の詐欺被害の調査でした。 そして同じ頃、将虎は地下鉄で飛び込み自殺をしようとした麻宮さくらを助け、このことをきっかけに親しくなり、彼女に惹かれていくのです。 詐欺事件と、物語のキーマンになる麻宮さくらとの関係を軸に、物語は展開していきます。 全編にわたって仕掛けられた壮大なトリックとは、どのようなものなのでしょうか。 ぜひ葉桜の季節に読んでみてください。 叙述トリックを用いて描かれる連続美女殺人事件『ロートレック荘事件』 1990年に発表された筒井康隆の名著『ロートレック荘事件』。 ちなみに筒井といえば『時をかける少女』などのSF作品で有名ですが、本作のように叙述トリックを用いた実験的な作品も数多く残しています。 舞台となっているのは、木内文麿という実業家が所有している、山奥の瀟洒な別荘です。 季節は夏の終わり。 このロートレック荘に2つの家族が集まり、バカンスを過ごすところから物語は始まります。 しかし優雅なバカンスは、銃声によってあっという間に終わりを迎えてしまいました。 どうやら被害者は窓の外から拳銃で撃たれたよう。 警察が到着し、捜査がおこなわれるなか、それをあざ笑うかのように第2の事件が起きて……。 鈴木は自身のことを全知全能の神だといい、猫殺しの犯人もわかるそう。 さらに望みとあらば、罰も与えられるというのです。 芳雄は、犯人が捕まらなければ、天罰を下してくれるようお願いしたのでした。 本作は、児童向け推理小説のシリーズ「講談社ミステリーランド」で発表されました。 しかしこの後に続く衝撃的な展開と、子ども向けにしては後味の悪すぎるラストに驚きを隠し切れません。 自称「神様」の予言どおりに起こる事件、下されていく制裁を目の当たりにした芳雄は、どのような行動をとっていくのでしょうか。 卓越した叙述トリックが楽しめる、おすすめの小説をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。 ミステリーを読み慣れていない方でも、十分楽しめる作品ばかりですから、興味のある方はぜひ読んでみてください。

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叙述トリックでどんでん返し系のおすすめの小説3選!

叙述 トリック おすすめ

「ねえ、叙述トリックって何?」 放課後の図書室。 俺の目の前に座るこいつは、急にそんな事を聞いてきやがった。 現時刻はもう夕方と呼ぶには遅い時間で、既に辺りは暗い。 図書室を利用している人間だって、そんなに多くはない。 しかしそうは言っても、図書室は静かに利用するのがルールでありマナーである。 にも関わらず、こいつはそんな事お構いなしに大きな声で話しかけてくる。 しかももっと性質が悪い事が、もう一つある。 「……あのな、年上には敬語を使えっていつも言ってるだろ」 「そんなの今更じゃん。 その時、ボタンをはずしたシャツの隙間から、胸元が見えてしまう。 俺はそれに視線を奪われた事を悟られないように、思わず視線をそらしてしまう。 小っちゃい頃からいつも一緒で、そのせいで瑞希は、俺に敬語を使う気なんてさらさらない。 まあ今更使われても、くすぐったいだけなんだが。 瑞希がこの学校に入るとき、てっきり敬語で対応されると思ったので、逆に拍子抜けだった記憶がある。 まあ、よそよそしくされる方が、傷つくんだけど。 「……とりあえず、身を乗り出すのもやめろ。 周りの視線が痛い」 「ちぇ、はいはい」 そう言うと、瑞希はすんなりと自分の椅子に座った。 なんだ、随分と素直に従うじゃないか。 「それでさ、叙述トリックって何?」 ……というより、どうやら話の続きがしたくてたまらないようだ。 やれやれ、しょうがない。 せっかく貴重な時間を使って、図書館で調べ物をしていたというのに。 しかしまあ、この年下の幼馴染につきあうのも悪くないか。 ここはひとつ、一席ぶってやろう。 「それで、一体なんで急にそんな事聞いて来たんだ?」 「いやー、いつまでも漫画読んでる子供じゃいけないかなって思ってさー。 それでとりあえず、ミステリ的なやつ読もうと思って。 ネットで調べたら『叙述トリック』って出てきてさ。 何なんかなーって思って」 何なんかなーって思ったくらいで、こいつは人に質問するのか。 はぁと、俺はため息をついた。 瑞希は、昔っからそうだ。 自分で思った事は何も考えずに実行するし、それを曲げようともしない。 はぁと、俺は再びため息をついた。 そうは言っても拒めないあたり、惚れた弱みってやつなのだろうか。 「……しょうがない、俺の知っている限りの情報でよければ話してやるよ」 「ほんとっ、やったーさっすが圭!! 話しが分かる!!」 「だから静かにしろって」 俺の注意もどこ吹く風で、瑞希は満面の笑みを浮かべる。 その太陽みたいな笑顔を見ていると、俺の胸も暖かくなるのを感じる。 こうやってこいつは、いつも俺の心をかき乱す。 俺がどれだけお前に心惹かれているのか、ちっとも分かっていないのだ。 こほんと一つ咳払いをして、俺は話し始める。 「まず、叙述トリックってのは平たく言うと、地の文でミスリードを誘う手段の事だな」 「えっと、さっそくよく分からなかったんだけど……?」 「まあ最初にそう言われても、ピンとはこないだろうな」 「地の文って何?」 「そこからかっ!?」 おいおい、もしかして小説を読んだ事がないんじゃないか、こいつ。 えー、もしかして俺、そこから説明しなくちゃいけないの? 「冗談冗談、分かってる分かってる」 そう言って瑞希は、いたずらっ子のような笑みを浮かべる。 その笑みを見ると、まあしょうがないかという気持ちにさせられてしまうから不思議なもんだ。 「でも実際問題、よく分からなかったんだよね。 地の文でミスリードを誘うって、つまり嘘をつくって事?」 「いや、嘘はつかない。 まあそれが一人称視点なら嘘をついてもいいけど、三人称視点だと嘘は駄目なんだ。 アンフェアになってしまう」 叙述トリックを語る上で欠かせないのが、アンフェアかどうかでもあるんだよな。 叙述トリックって、世界を根本からひっくり返したりするし。 まあそれはおいおい説明するとして。 「とにかく、嘘はダメなんだ。 一人称だって嘘がいいのは、その視点の人間が犯人である場合とか、あるいは誤認したパターンだけだし。 それにしたって、あまりにも嘘が多いとアンフェアだしな」 「? じゃあ普通の小説になるんじゃないの?」 「だから、ミスリードなんだよ」 嘘をつくのは、勿論いけない事だ。 それをした瞬間、その物語はアンフェアになりミステリとしての資格を失う。 でも、嘘をつくのが禁止でも。 全ての情報を言わなくてはいけないという事でもない。 「だから、本当の事を隠すんだよ」 「隠す?」 「そう、隠した上で、読んでる人が勘違いしてくれれば、それはもう嘘をついているようなものだろ?」 「あ、そっか!」 人というのは、先入観を持ってしまう生き物だ。 そして思い込みも激しい。 例えばある登場人物Aを物語に出したとして。 Aの服装に対する描写で、ズボンを履いていると記述しよう。 そしてさらに、Aが青年とでも描写すれば、読んでいる人にすれば、Aは男の人なんだなと思う。 しかしAが男なんて一言も書いていない。 ズボンなんて女の人でも履くし、青年という単語は性別を問わない。 実際、Aは中性的な女性なのに、描写によって読者は男性だと思いこむ。 これが、叙述トリックという訳だ。 「でもさ、まだ疑問は晴れないよ」 「え、なんでさ」 「だって、犯人のやってることがよくわからないもん」 あー、それもそうか。 叙述トリックが分からなきゃ、そう思うよな。 「ミステリって、犯人がトリックを使うんでしょ。 でも圭の説明だと、犯人ってより書いてる人がトリックを使うって感じなんだけど……」 「うん、そうだよ、その通り」 「え?」 「だから、作者が読者に対して行うトリックなんだよ、叙述トリックって」 まあ作中作だとか色々とあるし、厳密に言えばそうでもないんだけど。 一応は、そんな認識で間違いないだろう。 そもそも俺は、専門家でもないし。 「叙述トリックってさ、その物語の警察だとか探偵だとかを騙すもんじゃないんだよ、基本的に。 だからもし、その物語内に入りこむ事が出来たら、犯人なんて一発で分かっちゃうし、その物語の警察だとか探偵だって、普通に謎を解くまでもなく犯人が分かってたりする」 「? じゃあ、ミステリじゃないじゃん」 「でも、読者にとっては謎がある。 あくまでも作者が、読者に対して挑戦するんだ。 」 「じゃあ、読者が探偵で、作者が犯人。 そういう感じ?」 「まあ大まかに言えばな。 よくわかったじゃないか」 「えへへ」 俺が褒めてやると、瑞希は嬉しそうに微笑んだ。 ああもう、可愛いな、本当に。 すっごく嬉しそうにするんだもんなあ。 「じゃあさ、具体的にはどんなのがあるの?」 「そうだな、やっぱり性別の誤認トリックとかが有名なのかな」 「ああ、実は男だったとか、女だったとか、そういう話?」 「そうそう」 中性的な描写をしておいて、女と思わせておいて実は男でしたとか。 あるいは男と思わせておいて実は女でしたとか。 結構あるのは後者の方かな。 実際、中性的な描写をすると、人は結構男だと思い込む。 特に勘違いしやすい描写は、職業だ。 政治家だとか、先生だとか、医者だとか、棋士だとか。 そこらへんの職業は、どうしても男がまず浮かんでしまう。 「あとはまあ、違う人と見せかけて同一人物とか、あるいはその逆とか」 「同一人物?」 「ああ。 例えば同じ人でも、呼称が違うとか。 そうすると、違う人のように見えるんだよな」 例えば、小林青彦という人間がいたとしよう。 ある人(あるいはグループ)は、彼を『こーくん』と呼ぶ。 それはもちろん、小林だからって理由だ。 ところが、別の人(あるいはグループ)は、彼を『あおちゃん』と呼ぶ。 青彦のあおからとって、あおちゃんだ。 こうすると、同じ小林青彦なのに、『こーくん』と『あおちゃん』という二つの呼び方が存在することになる。 「でもさ、それだけじゃあトリックにはならなくない? 呼び方違うだけじゃん」 俺の説明を一通り受けて、瑞希はそんなことを言い出した。 まあ確かに、これは俺の説明が悪いかもしれない。 「まあこれだけだときついよ。 だからこそ、作家の腕の見せ所なんじゃないか。 例えば同時進行で別の物語を展開させて、片方に『こーくん』、もう片方に『あおちゃん』を出す。 勿論他の人間に共通している人間はいない。 こうすれば、なんかトリックになりそうだろ?」 「おおー」 「しかもだ。 『こーくん』は男っぽくて、『あおちゃん』は女っぽい。 これで、男女の性別誤認トリックも使えるのだ」 「すごいすごい!!」 ふっ、俺のトリックに、恐れおののいたか。 正直同一人物の叙述トリックはともかく、『こーくん』と『あおちゃん』の男女トリックは偶然だったけど。 しかしまあ、ここまで褒めてくれると、男冥利に尽きるってもんだ。 「まあ、あれだ。 ハンドルネームとか、叙述トリックぽいしな」 「ハンドルネーム」 「えー、そこも知らないのか」 まあ突っ込んだ解説をしてもいいんだけど、そうするとネタバレになるからな……。 叙述トリックって人間の他にも、色んなものを誤認させる事ができるけど、そこらへん説明するだけでネタバレだし。 「具体例はここら辺にして。 これで大体叙述トリックが分かったろ」 「うん、ありがと」 「本当はここから、叙述トリックがアンフェアかどうかの話をしたかったけど……」 僕は壁にある時計を見る。 午後六時半。 もう大分いい時間だ。 「また今度にしよう。 俺だってまだやるべき事があるしな」 「ちぇ、しょうがないか」 「まあそういうなって。 明日にでも俺の持ってる叙述トリックの本貸してやるからさ」 「本当に!? じゃあ明日、楽しみに待ってるよ!」 そう言うや否や、瑞希は立ち上がった。 帰る準備だけは早いやっちゃな、こいつ。 「あ、そういえばさ」 「ん?」 瑞希は帰り際に、俺に質問してきた。 「男女を誤認させるトリックあるって言ってたじゃん」 「ああ、言ったな」 「それって、 俺の名前でもできるじゃんね」 まあ確かに、工藤瑞希って名前は、 女 の 子 で も十分通じる。 というか、こいつ気づいてなかったのか。 あんだけ散々言っていたのに。 はぁと、俺は本日三回目のため息をつく。 「だからと言って、叙述トリックをする機会はないだろうが」 「まあ、確かにね」 「けどまあ、お前結構女の子っぽい喋り方だしなあ」 「そう? 普通だと思うけど」 「少なくとも、男らしくはない」 まあ、中学一年生なんて、そんなもんなのかもな。 「それじゃあ、圭。 まったねー」 「おい、最後くらい敬語使えよ」 「ちぇ、分かったよ」 そして、瑞希は去っていく。 名残惜しい時間は、過ぎ去ってしまう。 「それじゃあ 來 次 先 生、さようならー!!」 ************************************** 「……はぁ」 図書館での調べものを終えて、俺は理科準備室にいた。 机に突っ伏して、リラックスモードだ。 やれやれ、中学校教師だと、授業の内容も専門的な話だけでは済まないのはつらいな。 おかげで、中学生向けの『よくわかる科学』を読む羽目になってしまった。 いくら雑学を入れつつ面白い話をしろって言われても、難しいだろ。 くそ、ちょっと偉いからって人の授業まで命令しやがって、あの教師。 「……はぁ」 本日五回目のため息をついた後、俺はコーヒーを淹れるために立ち上がる。 まあ図書館で調べものをした結果、瑞希に会えたんだからよしとしよう。 おつりがくるくらいだ。 「……はぁ」 またもため息が出る。 しかしこれは、さっきのため息とは違う。 強いていうなら桃色吐息だ。 ……これ、用法あっているのかな。 俺は瑞希の事が好きだ。 僕は年下の幼馴染、しかも男に恋をしている。 勿論わかっている。 こんな恋は決して許されるものではない。 中学一年生で幼馴染、しかも男だ。 数え役満だ。 しかし、気持ちを抑えられたら苦労はしない。 それで気持ちが落ち着く筈もない。 「……はぁ」 本日七回目のため息。 今度のは、どうしようもない自分への、諦念と失望がドロドロと混じり合ったため息だった。

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あなたの盲点をあばく「叙述トリックミステリ」10冊: ノーリスク・ハイリターンの投資は読書

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今日のなぞなぞ 「叙述トリック小説のおすすめベスト10は?」 「叙述トリック」が仕掛けられたミステリ10冊をまとめました。 通常の物理トリックやアリバイ偽装などとは異なり、「プロット(構成)」や「文章そのもの」に仕掛けられる、小説ならではの方法ですが、映像作品やマンガでも叙述トリック的などんでん返しがみられることがあります(後述)。 人の脳は、足りない情報を勝手に補完する。 私たちは補完したことに気づかず、「すべて見えている」と思いこむ。 その視界には、ほんとうは「盲点」がある……。 アクロイド殺し、二銭銅貨、達也が嗤う、殺人交叉点、十角館の殺人、イニシエーション・ラブ……。 芋づる式の読書案内にもなる本。 ネタバレをいとわず古今東西のさまざまな作品について論じているので、気をつけてくださいね。 ミステリ以外の小説も取りあげています。 たとえば、田山花袋 のテクストの「言い落とし(レティサンス、黙話法)」を指摘する……など。 末尾には笠井潔さんと巽昌章さんと法月綸太郎さんの鼎談(途中、我孫子武丸さんも乱入)が収録されています。 叙述トリックは<語り>=<騙り>の操作が如実に意識されるスタイル。 以前の記事( )で紹介したような文学理論に興味がある方も、とても面白く読める1冊です。

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